ピカソと言えば、日本人の間では抽象絵画の父として有名です。
彼が描いた抽象絵画には様々な解釈があり、ヒューマニズムの象徴、社会の風刺、新しい表現技法への挑戦等、色々な専門家の見方が存在しています。
ただし、ピカソの作品は抽象絵画に留まっていません。
青年期には、写実的な絵画を多数発表していて、まるでカメラで捉えたかのような、リアルな作風が堪能出来ます。
またピカソが発案したとされるキュビズムも、脳科学的に見れば、極めてリアルな絵画だと言われているのです。
顔の向きや体の形、そして全体的なパースペクティブは型破りですが、個々のパーツに着目すれば、その遠近法は全て正確なのです。
実際私たちも現実世界をカメラの目のように捉えている事は一切なく、むしろ彼らの作品のように、個々の部分をデフォルメしながら、随時解釈しています。
キュビズムとは無茶苦茶な絵をただ作者がきをてらい描いたのでは無く、一つのモチーフを、言わば時間差で描いた作風です。
一人の美女を別々の角度から観察し、それをCGのコラージュのように、絶妙に合成しながら描写する、それが彼らの発案したキュビズムの本質といえます。